もしもアニサキスを食べてしまったら…
アニサキスが体内に侵入したとしても、アニサキス症の症状が必ず現れるわけではありません。発症しないまま、約3週間で体の外に出てくるとの報告もあります。
アニサキス症の可能性があるのは、食事を済ませて時間が経ってから、発熱、強い痛み、嘔吐、吐き気などが急に現れた場合です。症状が現れた方は、速やかに胃カメラ検査やアニサキスの治療可能な病院で診てもらい、アニサキスを摘出してもらう必要があります。体内からアニサキスがいなくなれば、症状は落ち着きます。
そもそもアニサキスとは
魚介類に寄生する線虫がアニサキスで、長さ2~3cm、幅0.5~1mm程の細長くて白い寄生虫です。アニサキスの幼虫が魚介類に寄生しています。
オキアミをはじめとするプランクトンを食べた魚介類の内臓に寄生し、内臓から刺身で食べられる筋肉に移動することもできます。また、寄生した魚介が死んでもアニサキスの幼虫は死なずに生き続けます。
アニサキスが寄生した生の魚介類を食べてしまうと、アニサキスが体内に侵入してしまい症状が現れます。体の中に入ったアニサキスが胃腸の壁に突き刺さると、激痛に襲われ、食中毒の症状が現れます。
アニサキスがいる魚の一覧
アニサキスは、下記の魚に寄生している傾向が多いとされています。
ただし、下記以外の魚にもアニサキスは寄生できることを覚えておきましょう。
- ホッケ
- サケ
- サンマ
- サバ(特にシメサバ)
- タラ
- イワシ
- ホタルイカ
- イカ
アニサキス症の分類と症状
アニサキスに感染した部位により、アニサキス症のタイプが下記のように分けられます。また、異なる症状が現れるのも特徴です。
胃アニサキス症
食事が終わって数時間後に上腹部の強い痛みが生じます。
- 吐き気、嘔吐
- 蕁麻疹
- 発熱
アニサキス症を発症した人は、胃アニサキス症であることが多いです。
腸アニサキス症
食事後半日~数日後に下腹部に強い痛みが生じます。
- 嘔吐、吐き気
- 発熱
胃アニサキス症より、発症する方が少ないのが腸アニサキス症です。
症状が進行するにつれ、腹膜炎、腸閉塞、腸穿孔などのリスクが高まります。
消化管外アニサキス症
消化管外アニサキス症は発症する方が少ないです。胃や腸の粘膜に食いついて、そのまま大網・腸間膜・腹壁皮下などに移動してしまい、肉芽腫になる恐れがあります。
アニサキスアレルギー
- 血圧低下
- 蕁麻疹
- 呼吸困難
アニサキス自体にアレルギーを起こした状態です。アナフィラキシーショックにより、上記の症状が起こります。
アニサキスの治療
胃アニサキス症の治療
胃カメラ検査で胃の中にアニサキスがいるかを確認します。胃カメラの先には鉗子が付いているので、アニサキスを見つけたらその場で切除し摘出します。アニサキスが体内からいなくなると、症状は落ち着きます。
腸アニサキス症の治療
アニサキスは胃の中にいることが多く、腸にいることは稀です。
腸アニサキス症の可能性がある方は、対処療法で治療してアニサキスが死ぬのを待つか、体の外に出てくるのを待ちます。
消化管外アニサキス症の治療
アニサキスがいる場所により治療法は異なり、直ちに治療を要するケースもあります。
アニサキスアレルギーの治療
アニサキスアレルギーの症状がある方は、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイドで症状を落ち着かせます。アナフィラキシーショックを起こしている方は、点滴の投与やエピペンで症状を落ち着かせます。