尿酸値が高い状態が続く高尿酸血症(痛風)
男性の方が高尿酸血症になることが多い?女性は?
男性の方が女性に比べ高尿酸血症にかかるケースが多く、患者様も年々増加傾向にあります。女性ホルモンには尿酸が体外に出るのを促す働きがあるため、高尿酸血症にかかる女性は少ないとされています。
高尿酸血症の原因は?
高尿酸血症や痛風は、下記のような要素が重なったことが原因と言われています。
- お酒の過剰摂取
- プリン体の過剰摂取
- 肥満
- 遺伝的な体質(尿酸を排泄する機能が弱い、尿酸が多く作られやすいなど)
ビールには多くのプリン体が含まれており、飲み過ぎると血液中の尿酸も増加するため、ビールの飲み過ぎには注意が必要です。その他にもレバーや干物などがプリン体を多く含んでいるので、食べ過ぎないようにしましょう。
高尿酸血症により引き起こされる病気
痛風
痛風は中年の男性がかかりやすい病気で、尿酸が高い状態が続いて、尿酸の塊である結晶が関節内に溜まることで発症します。運動や尿酸値の変動が大きくなると、尿酸の結晶が関節内で剥がれ落ちてしまい、炎症が生じて激痛に見舞われます。ほとんどの場合、痛みが現れるのは一ヶ所であることが多く、一度に複数の関節に痛みが現れたりはしません。痛くなるのは、足の親指の付け根の関節、足首、手首、肘の関節が多い傾向にあります。
尿酸値が低いからといって痛風発作が起きないわけではありません。それは、発作が起きているときに採血して尿酸値を調べても普段に比べ下がっているケースもあるからです。
腎障害
高尿酸血症にかかると、慢性腎臓病の発症や症状が進行しやすくなるとされています。
尿路結石
高尿酸血症の方は尿が酸性になりやすいため、尿路結石が生じやすいです。
生活習慣病を発症しやすい
高尿酸血症の方は、生活習慣病である糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどを引き起こしやすいと報告されています。
高尿酸血症の症状
症状があまり現れないことが多いですが、痛風になると手・肘、肩、腰、膝、足といった体全体の関節の強い痛みや腫れが生じます。初期の場合、痛みは短い時間で治まりますが、何度も痛風発作が起こると、状態が悪化して痛みが現れる時間が長くなるので注意が必要です。
高尿酸血症の検査と診断
高尿酸血症は、採血して尿酸値が7.0mg/dlを超えていると診断されます。高尿酸血症の種類や腎臓の働きを確認するため、尿検査を実施するケースもあります。
高尿酸血症は治る?治療法について
食事療法
食事の際、魚介類や肉類の食べ過ぎにならないように量を調節して頂きます。
食事とお酒でプリン体が400mgを超えないように心がけ、こまめにお水やお茶を飲んで体に水分を補うようにしましょう。
低糖質ダイエットのような栄養が偏った食事をしていると、尿酸値が上昇する可能性が高いのであまりお勧めできません。肉や魚ばかり食べるのではなく、タンパク質、脂質、野菜、炭水化物も食べて満遍なく栄養を摂取することが重要です。
運動療法
規則正しい生活習慣や肥満を予防するために、運動は有効な方法です、ただし、高尿酸血症の方が短い時間で激しい運動をすると、尿酸値が上がりやすいので注意が必要です。
高尿酸血症の方は、有酸素運動のようなサイクリング、ウォーキング、ジョギングなどを、話しながら軽く運動するくらいが適しています。
薬物療法
痛風発作を一度でも起こしたことがある、痛風発作は起きていないが尿酸値が9mg/dl以上の方は薬物療法を実施します。なお、尿酸値が8mg/dl程度の場合も、尿路結石、腎障害、狭心症、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群といった様々な病気を引き起こす恐れが高いので、薬物療法を行う可能性があります。
痛風発作が起きた方は、尿酸値6mg/dl以下を目指すために、尿酸が作り出されるのを防ぐお薬や尿酸の排泄を促すお薬を服用して頂きます。どちらかというと、尿酸が作り出されるのを防ぐお薬が積極的に使用されるケースが多く、尿酸の排泄を促すお薬は尿路結石ができる恐れがあるので、患者様の状態に適したお薬を処方することが重要になります。尿酸値はお薬の効果が現れると、下降して基準値に戻りますが、高尿酸血症自体が治るわけではありません。お薬の服用を止めた場合、2週間程で再び高尿酸血症になってしまいますので、お薬の服用が長期間になることをご理解ください。高尿酸血症をそのままにすると、尿酸塩が蓄積して様々な疾患を引き起こす恐れがあります。
痛風発作では、尿酸値の管理を行う前に、痛風発作が起きた時の治療を優先します。そして、発作が落ち着いたら、尿酸値を基準値に戻すために治療していきます。
強い痛みが起きているときは、なるべく早く関節の炎症を落ち着かせるために、消炎鎮痛剤(NSAIDs)を服用して頂き、痛みの緩和を目標にしていきます。