- 異常がないのに下痢や便秘?過敏性腸症候群(IBS)
- 過敏性腸症候群の主な原因はストレス
- 過敏性腸症候群のタイプ別症状チェック
- 過敏性腸症候群の検査と診断
- 過敏性腸症候群の治療
- 過敏性腸症候群になったらどうすればいい?
異常がないのに下痢や便秘?過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、慢性的なお腹の不調や痛み、下痢や便秘といった便通異常があるにも関わらず、検査しても腸内に炎症や腫瘍などの異常が認められない病気です。
過剰なストレス、ウイルスや細菌が原因の胃腸炎の影響で発症するとされていますが、明確な原因は分かっていないのが現状です。また、国内ではおよそ10%の方が発症しているとされ、20代女性、元気に働く30~40代の方々がよくかかることが判明しています。
発症すると、日常生活に支障をきたすくらいの下痢、便秘、腹痛といった症状が現れる可能性が高く、いつ症状が現れるか不安という感情的要素が引き金となり、症状が起こるという悪循環が生まれてしまいます。
心理療法や薬物療法で少しずつ症状を落ち着かせていき、良い状態にすることができます。長い間、お腹の不調や便通異常を抱えている方は、一度当院を受診ください。
過敏性腸症候群の主な原因はストレス
過敏性腸症候群の原因は今のところ不明です。ただし、下記の3つが過敏性腸症候群と密接に関わっているとの研究結果があります。
- 乱れた生活習慣、食べ過ぎ・飲み過ぎ、過剰なストレスにより腸機能が乱れやすくなります。
- 精神的ストレスを感じることで、自律神経が乱れやすくなります。
- 腸内細菌のバランスの崩れやストレスホルモンの変化によって、腸が刺激に敏感な状態になります。
過敏性腸症候群になりやすい人
ストレスに弱い性格、仕事などによるストレスが発症のきっかけになります。
- 気分が落ち込みやすい方
- 思っていることをうまく伝えられない方
- 神経質な方
- 20代女性の方
- 30~40代で働き盛りの方
発症しやすい状況
ミーティング、テスト、面接、登校時、出社時など、過度に緊張する場面やストレスを感じる場面で症状が現れる方が多くいます。
過敏性腸症候群のタイプ別症状チェック
過敏性腸症候群は、下記のように「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」の4種類に分けられます。この他に、近年新たに増えたのが「ガス型」と呼ばれるタイプで、ガスの症状が多い方がこのタイプに分類されます。
便秘型
過敏性腸症候群の便秘型の場合、腸の運動が活発化して便の通り道が狭くなります。その結果、便が詰まりやすくなり、長く腸の中に便が留まってしまうことで、水分が吸収されてコロコロした便になります。
- 便が腸に溜まるのでお腹が張る
- 女性が発症しやすい傾向がある
- 排便しにくい
- ストレスを感じると、便秘が悪化する
- うさぎの糞みたいなコロコロした固い便が出る
下痢型
過敏性腸症候群の下痢型の場合、腸の運動がさらに活発化して、腸の中で水分を含んだ便が速やかに通り、下痢となります。
- 緊張する状況で、腹痛とともに下痢になる
- 男性が発症しやすい傾向がある
- 1日の間に何回も水っぽい便が出る
- ストレスを感じることで下痢が悪化する
- 粘液が付着した下痢便が出る
混合型
下痢型と便秘型の症状が混合して現れます。
- ストレスにより何度も下痢と便秘になる
- 下痢と便秘が何度も起き、お腹の調子が悪い
分類不能型
上記の3種類に当てはまらない場合、分類不能型とされます。
ガス型
過敏性腸症候群のガス型の場合、活発な腸の運動によりガスが溜まりやすく、主におならが症状として現れ、その他にも下記のような症状が現れます。
- よくおならが出る
- おならを我慢できない
- 腹痛
- 緊張する場面で腹鳴(お腹がなること)が起こる
過敏性腸症候群の検査と診断
まず詳しい症状と症状が続く時間、症状の原因、状況などをお伺いいたします。その上で、ローマ基準と呼ばれる過敏性腸症候群の診断基準に当てはめて適切な診断を下します。
ローマ基準によると、症状は半年前から現れ、さらに最近の3ヶ月間に起こった腹痛の頻度が1週間に1回以上ある場合、「以前に比べ便の形が変わった」、「排便すると症状が緩和する」、「排便の回数が変わった」のうち2項目以上伴う方が過敏性腸症候群に当てはまるとされています。
これらの症状は大腸に発生する様々な病気(難病指定されたクローン病や潰瘍性大腸炎など)でも同じように現れますので、大腸カメラ検査や血液検査を受けて何が原因かを特定することが大切です。
過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群は、生活習慣の改善と薬物療法を中心に治療していきます。
生活習慣の改善
いつもの生活習慣をお伺いした上で、疲れやすい、睡眠が足りていない、ストレスにさらされている場合の対策を指導します。また、アルコールの過剰摂取、辛い食べ物などの食べ過ぎもお腹に負担がかかるため、摂りすぎないように量を調整することが大切です。
薬物療法
腸の働きを調整するお薬、便の硬さを調整するお薬、腸内細菌叢を整えるお薬など、症状に合ったものを選んで服用して頂きます。
過敏性腸症候群になったらどうすればいい?
過敏性腸症候群の症状がそれ以上悪くならないように規則正しい生活習慣を心がけ、身体機能の低下を防ぐことが必要です。
十分に睡眠をとる
睡眠は8時間とるのが理想と言われています。ただし、仕事や学業などで忙しくて難しい方は、少なくとも6時間は睡眠をとるようにしましょう。
食事内容の改善
毎朝しっかりご飯を食べる、お酒の飲み過ぎに注意する、食物繊維な豊富な食材をよく食べて食事内容をよりよいものにする必要があります。また、飲酒が好きな方は、焼酎お湯割り1杯、ビール500ml1~2本、ウイスキーはダブルまでと量を決め、飲み過ぎないようにしてください。
運動習慣を身に付ける
ウォーキング、体をほぐす、軽い体操などを毎日続け、運動習慣を身に付けることで、リラックス効果を得られる見込みがありますので、無理せず継続するようにしましょう。